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ホーム  >  牡蠣博士の研究室 第二回

 牡蠣は軟体動物−二枚貝−綱翼形目−イタボガキ科に属している。牡蠣の種類は多く、世界中で約60種類、日本だけでも約12種類にのぼるとされている1)。 日本で見られる牡蠣は、以下が比較的良く知られている。

 これらの中で、我々が口にするのはマガキとイワガキであるが、これらの旬の時期は異なっている。一般的にマガキは冬に旬を迎えるが、イワガキは夏である。「花見を過ぎたら牡蠣を食うな」や「Rの付かない月※は牡蠣を食うな」といった牡蠣に関する言葉は有名だが、これらはマガキを指した言葉である。 しかし牡蠣は、生息環境によって貝殻などの形態的特徴が変化しやすいことから、種の分類が混乱していることがある。
※英語で、Rが付かない月の事。5月(May)、6月(June)、7月(July)、8月(August)を指す。 海水の温度が上がり始めるこの時期に、牡蠣は産卵期を迎える為、生殖器が発達して身が細り、 冬の間に溜め込んだ 旨味成分グリコーゲンをはじめとした栄養分を使い果たしてしまう。そのため、美味しくなくなってしまう。
(ミルク牡蠣は、2月〜4月の 一番栄養分が多く身がぷりぷりの美味しい時期に収穫しています。)



 牡蠣の養殖は、広島県では室町時代の終わり頃(天文年間:1532-55年)に、宮城県では1600年代に松島湾野々島で行われたのが始まりとされる3,4)。現在は、垂下式採苗による養殖法が一般的に広く採用されている。  垂下式採苗法は、ホタテの殻や牡蠣の殻に採苗を行い、水中に垂下させ大きく育てる方法である。垂下の期間は、栄養分(植物プランクトン)の量に依存し、栄養が豊富な場所で育てた場合、その成長は早く、肉厚な牡蠣へと成長する。このため、牡蠣の産地によってその様子が異なる。現在では産地による養殖生産技術を追求することにより、「牡蠣の独自化」が進んでいる1)。


日本海は、暖流である対馬海流と寒流であるリマン海流との複雑なフロント海域が存在し、栄養豊富な海である5)。また、マガキが旬を迎える冬の季節風は、海水表層を冷やし、鉛直方向の海流混合を起こす。これにより、中低層の豊富な栄養塩類が表層付近に運ばれることとなる5)。さらに、日本海側は太平洋側と比べて、冬の降水量(降雪量)が多いことが知られており、冬から春にかけては、陸からも栄養が供給される湾も多い。こういった背景から、日本海側では牡蠣の養殖が盛んに行われている。


 亜鉛は生体内必須微量元素の一つであり、鉄、銅、マンガン、ホウ素などと同様、摂取する必要がある。亜鉛は様々な生体内酵素の構成成分であり、細胞分裂、皮膚の新陳代謝、成長・発育、味覚を始めとする感覚器官などに重要な役割を持つことが知られている。このため、亜鉛の不足は、皮膚炎や成長障害、性腺発育障害、男性機能不全、味覚障害などが起こる可能性がある。その中でも注目すべきは、細胞分裂に亜鉛が深く関与していることである6-8)。 我々の体では常に細胞分裂を繰り返していることを考えると、亜鉛は、我々が動く活動源とも言えるのではないだろうか?

参考資料 1) 飯塚祐輔,荒西太士(2008)九州に分布するイタボガキ科カキ類のDNA鑑, LAGUNA,15,69-76. 2) 広島県立総合技術研究所水産海洋技術センターHP 3) 広島市水産新興センターHP 4) 宮城県HP 5) 環境省HP 6) 糸川嘉則(2000)最新ミネラル栄養学,健康産業新聞社 7) 大越健嗣(2007)海のミネラル学−生物との関わりと利用−,成山堂書店 8) 広島県国民健康保険団体連合会HP